■まずはネタバレ抜きの感想とか。
ご存知の通り原作である同名タイトル"Dawn of the Dead"(「ゾンビ」の邦題で日本でも御馴染みですね)は、ゾンビ映画に「生ける屍のルール」などの点で後の作品群に大きな影響を与えた、まさに聖典とも言える存在です。
正直、それをリメイクすると聞いた時には好奇心よりも心配の方が大きかったわけで。
ただでさえほとんどゾンビ映画が作られない昨今、これが初めてのゾンビ映画体験という若い人も多いでしょう(「28日後」は正確にはゾンビじゃないし。面白かったけどね)。
そして、その初めての人が観るゾンビ映画がまさに同ジャンルの看板である作品。そういう状況で下手なリメイクをされた作品を観てしまえば、「ああ、ゾンビなんてやっぱりこの程度か」的な判断を下され、この後に公開される同ジャンルの作品への影響も出てしまうだろうなあ、と。
そんな心配をしながら、映画館へ足を運んでまいりました。
杞憂だ!マジで面白かったよ!
昨日も書いたとおり、作品全体のスピード感がとってもいい感じです。
昨今の映画では珍しい1時間半という短い上映時間、そして原作で割と濃密に描かれていたカニバル(人肉ムシャムシャ)シーンがほとんど描かれず、代わりに「追いかけられる恐怖」を重点的に描いた結果、ノンストップで恐怖に次ぐ恐怖、緊張に次ぐ緊張が畳み掛けてくれます。そりゃもう笑っちゃうぐらいに。
モールに立て篭もる人数がかなりの大所帯になってますが、一人一人の描写はそれなりにされるし(キモいデブのおばさんと除く)、観ていて「誰だっけこれゾンビになってるけどいつの間に」みたいなことにはならないかと思います。
何処かで製作者が言ってた気がするけど、原作のリメイクではなくリ・イマジネーションとして観るべき作品なのでしょう。ストーリーや設定の違いなどの点からしても。
多分9割以上の方が「は?ゾンビ?ドロドログチョグチョの人肉感謝祭映画だろ?」とか思ってそうなので補足すると、そもそも原作の舞台がショッピングモールになったのには、原作監督ロメロお得意の「ゾンビという仮面を被った社会批判」という側面があります。
これに対し、リメイク版では舞台としてのショッピングモールは恐怖の演出する場所の一つに過ぎません。
ただのホラー映画になったな、そもそも"Dawn of~"である必要はあったのか?という意見も出てくるでしょうが・・・まあ、それはそれ。
何はともあれ、バイオハザードでゾンビを撃ち殺すことに快感を覚え始めたトリガーハッピー予備軍の人や、フリークスの血まみれ映画渇望症に陥って悶々としていた人はこんなところ見てないで着替えてとっとと映画館に走るのが吉!劇中のグロカットでは爆笑間違いなし、後悔はしませんよ?
ちなみに、DVD版ではカットされた30分以上のグロカットを映像特典として追加する模様。買わないと。
■ネタバレ感想。映画観に行った後にどうぞ。
CJ格好良すぎ!
最初嫌キャラが最終的に最も格好良い死に様を見せてくれるのは漫画などの世界ではよくあることとはいえ、流石にキました。正直、停電時に地下に潜った際、斧を渡された後であの優男(名前忘れた)の頭カチ割るもんだとばかり思ってた自分が恥ずかしいよ!?
ちなみにノベライズでは「市民を護るのは警官だけじゃねぇんだぜ」なんていう超イカしすぎててもう
CJ様抱いてー!な熱い発言と共に爆死する模様。DVDで入らないかなー。
銃砲店の主人もいいキャラだった。最後は南無な末路を辿ったけど、是非の最後の島(スタッフロール後のあれ)まで一緒について来て五臓六腑の活躍を見せて欲しかったところ。生き残ったら生き残ったで面白くなかっただろうけど。
チェーンソーは本気で笑い抑えるのキツかった!
だって全然役に立ってない・・・つーか無いほうが良かったじゃん!モールの脱出まであのヤリマンな方が死ななくて「まさかこのまま生き残るのか!?」とか思わせたところで
見事に分断だからなあ。いやーウケた。
スタッフロール後の絶望的な展開も個人的にはグッドテイスト。本来はDVD特典の別EDだったらしいですが、やっぱあれでハッピーエンドってのもあり得ないだろうし、ね。
・・・てか、全体的に作りが28日後に似てる気も・・・気のせいか?
一緒に観に行った某知り合いは程よくビビって上映中のトイレ出張をしてたみたいですけど(ここ見てたら多分殴られるな(*´ω`*))、誰も責められまい。グロ描写を笑えるようになったら人間お終いですよ(ぇー